ドアが開いて客が入ってきた。
ギョッとした表情でこちらを見る。
僕は、目を逸らして、黙々とモップで店の床を磨き続けた。
僕は今、全裸でゲイビデオ専門ショップの店内を掃除している。
好き好んでやっているわけじゃない。
露出癖があるといっても、こんな大胆なことをする勇気などない。
万引きがバレたのだ。
「ちょっとお客さん」
オネエ気味な中年の店員に腕を掴まれた。
警察に通報するという店員に対し、僕は土下座して謝った。
「あんたさぁ。こういうの好きなの?」
店員が僕が盗もうとしたDVDを見ながら言った。
野外露出の作品だ。
僕は、それに答えることなく、ただひたすら謝った。
「脱ぎなさいよ」
僕は、言われるまま服を脱いだ。
「ほら、全部よ全部」
そして、全裸のままで店を掃除するように命じられた。
「こういうシチュエーションが興奮するんでしょ」
たしかに嫌いではないけれど、恐怖心で興奮などなかった。
ただ、魔が差して万引きしてしまった自分が憎い。
しばらく掃除を続けていると、恐怖心が薄れてきた。
これで警察に通報されるのだけは免れそうだ、と。
安堵感と同時に、今度は羞恥心が襲ってきた。
目に映るDVDのジャケットのせいか、
露出している状況に興奮してきたせいか、勃起してしまった。
レジの方向を見ると、僕を捕まえた店員がにやにやしてこちらを見ていた。
「やっぱりあんた変態じゃないの」
目が合うと、店員は俺の勃起をからかった。
そして、ついに客が訪れたのだ。
最初の客は、遠めに僕を見ただけで、商品も買わずに帰った。
それから間もなく、若い二人連れの客が来た。
僕を見ると、驚いて言葉も出ない様子だった。
しばらく、遠めに僕を見ながら、二人でこそこそと話していた。
そして、僕に近づいてきた。
「ねぇ。これ何かの罰ゲーム?」
一人が僕に言った。
僕は、どう答えていいものかわからず、俯いたまま掃除を続けた。
「ビデオの撮影とか?」
黙ったまま、僕は首を横に振った。
「すごいじゃん。勃起してるし」
「変態だよ」
二人に挟まれて、僕の恥ずかしい姿をまじまじと見られた。
「あら、お客さん。触ってもいいですよ」
オネエ店員が、妙に甲高い声で客に言った。
客の一人が僕の体に触った。
乳首や脇腹、お腹……。
そして、痛いくらいに膨張した敏感な部分へ。
「すげぇ。濡れてるし」
僕は、恥ずかしさで頭がぼんやりしてきた。
恥ずかしいし情けない。でも、気持ちいい……。
二人の客はどんどん大胆になってきた。
蛍光灯が照らす明るい店内で、本格的に僕は責められた。
僕は四つん這いの姿勢をとらされる。
一人が、自分の勃起を僕の口にねじ込む。
後ろからは尻の穴を指で探られた。
店員が、「これ使いなさいよ」とご丁寧にコンドームとローションを持ってきた。
前後から犯され、よがり狂う僕。
実は、アナルを責められるのは初体験だった。
「あん。あっあっ。ああっ」
これ以上ないほどの屈辱感で、僕は興奮の極致に堕ちた。
二人は僕の顔に向かって射精した。
ザーメンまみれの僕の顔を満足そうに眺めると、二人は帰っていった。
「あんたもイきたいんでしょ」
店員が放心状態の僕に言った。
「次の客が来たら、自分で扱いてイきなさい」
僕は、素直にこくりと頷いた。
早く、次の客が来ないものかと、店のドアが開く瞬間を待ち焦がれた。