話し合いの結果、次回は様々なセクシャリティーがテーマの舞台をやることになった。
そこにはゲイやレズビアンも登場するのだが、
敢えてイメージから外れようということで、俺はゲイの役にはならなかったが、
部一番の男らしい裕介がその役に当たった。そして、俺は裕介に迫られる役だった。
やはりお互い役作りには苦労していた。
そんなある日、裕介が俺に「俺にゲイを教えてほしい」と言ってきた。
俺は躊躇したが、裕介は頑固だから、言い出したら聞かない。仕方ない。
俺は家ではカミングアウトしていないので、ファミレスで話をすることにした。
俺は知ってる限りの知識を伝え、携帯のエロ画像を見せた。
でも、正直言葉や画像なんかじゃわからないのは、お互いわかっていた。
でも、裕介の「セックスしよう」の言葉は、俺が裕介のことがタイプなだけに、
嬉しい反面、一線を越えさせてしまうことへの怖さを感じていた。
夜も遅くなり、会計を済ませ歩き始めた。
いつも、俺達は舞台映えする肉体作りにジムに行くのだが、
その途中、手を繋ぎたがる裕介に拒む俺、どちらがゲイだかわからない。
今日ばかりは、見慣れた裕介の裸も別の物に感じた。
筋トレ後のサウナで堪えきれず、勃起してしまった。
俺は恥ずかしくて、逃げるようにサウナを出るが、裕介は追いかける。
半勃起状態のモノを、結局トイレで見られてしまった。
裕介は、俺を大便器に連れ込み、自分もタオルを取り勃起を見せた。
17cmは確実にある、上反りを見せられた俺は、もう欲望を抑えられなかった。
何も言わず、裕介のものにしゃぶりついた。
彼女に悪いと思いながらも、彼女には負けないように、丁寧に優しく愛撫する。
裕介は、すぐにイキそうになり、俺にキスをした。
舌を絡ませる裕介に、胸の鼓動が高くなる。ドンドン裕介の唇が下がっていく。
乳首の舐め方もツボを心得ている。思わず声が出そうになった。
乳首からヘソへ、そして俺の勃起に向かい、少し迷いながらしゃぶりつく。
暫くは、当然ながら、慣れない口付きだが、すぐにいやらしい粘膜へと変化した。
気持ちいいのだが、裕介とこんなところでするのはもったいない気がして、
裕介の口を離して、ホテルに行こうと誘った。
ホテルに行く道でも、ロビーでも、初めてホテルに行く俺と違い、裕介は堂々としたものだった。
部屋に入ると、お互い少し落ち着いたようだった。
服を着たままベッドで横になり、地元劇団の話や演劇論で盛り上がった。
そして「ゲイの役をやるからって、ゲイの経験をするっていうのは違うかもな」と話す裕介。
「後悔してるの」と聞く俺に、
「後悔してないよ」と再びキスをした。
俺の方が根っからのゲイの筈なのに、裕介に完全にリードを取られていた。
それでも、裕介の方が先に俺の口の中で果て、俺は精子を飲み込んだ。
直後のキスが堪らなく嬉しかった。
そして、裕介も俺が「無理しないで」と言うのに、飲んでくれた。
少し咽せていたのに、苦い顔1つ見せず、裕介は笑顔を見せる。
そして、その日俺は初めてタチになった。
舌と指を遣い、ゆっくりと優しく念入りにアナルを解すと、
裕介は今までとは違う、色っぽい声で喘いだ。
挿入する時の感触は忘れられない。
裕介の勃起を扱きながら、腰を動かし、キスをして、ほぼ同時に果てた。
休まず、裕介も俺の中に入った。
一応親には連絡して、その夜はホテルに泊まった。
明日も学校だし、帰れる距離ではあったけど、一緒にいたかったのだ。
裕介は、ゲイに関して理解できたのかはわからないが、
芝居の呼吸は、今までより確実に合うようになった気がする。
裕介は、同部活にいる彼女とは別れ、俺と付き合っていることを、部活内でも堂々と話すが、
俺はいつも冷や冷やしている。が、そこが裕介の魅力でもある。
もしいつか…別れた後も、志は変わらないと誓い、
卒業したら劇団を立ち上げようと話し合っている。