今月から新社会人になる22歳です。
大学3年のときにあったエピソードを。
同じ学年に、前から気になってたイケメンがいました。
町田啓太似のルックス。でも目はもっとクールで涼しげで、伏し目になると色気が漂う感じ。
体つきはスリムだけど、服の上から堅く締まった胸や腕の筋肉が伺えるという、
とにかく顔も体もものすごくカッコイイ奴です。
入学式のときに目を奪われてしまい、
それ以来キャンパスの中や講義で見かける度に胸がドキドキとうずくような感じでした。
でも、いつ見ても女連れてるし、一緒にいる女が毎回違う。
めちゃめちゃモテるんだろうし、どノンケでやりまくりなんだろうなと、
切ないような気分にもなっていました。
3年生からゼミが始まります。驚くことに、彼は僕と同じゼミでした。
最初に彼に話しかけてきてくれたのはなんと彼のほう。
少人数のゼミだし、男は他にオタクっぽいのが2、3人いるだけだから、
彼とはすぐに親しい仲になりました。
ゼミ以外の時間でも、大学にいる間はだいたい彼と一緒にいるという状態です。
当然、そのゼミの女たちも彼に寄ってくるんだけど、
彼はあんまり相手にしないで、僕のそばから離れないんです。
もう大学生活が一気にバラ色になった気分でした。
さて、そんな友達としての関係が変わったのが、ゼミの飲み会のときです。
4月のときから、ゼミの教授が飲み会を開こうと言っていたけど、
皆バイトの都合などで日程が折り合わず、
結局飲み会は前期の試験が終わってからの開催になりました。
明日から夏休みという開放感で、メンバーも教授もどんちゃん騒ぎ。
でも僕と彼はそれには加わらず、ビール片手に二人切りで話をしていました。
酒が入ると、やっぱり会話は色恋のネタに。
「S(彼の名)ってさあ、やっぱめちゃくちゃモテるんだろ?」
僕が言うと、彼は謙遜して首を振ります。
「いや、別にフツーだよ」
「その顔で嘘つけ」
「そうでもないって。イケメンって言ってくれる女はいるけど、
俺、すぐにかっこ悪い中身見せちゃうから、長続きしねーんだ」
「長続きしないけど、寄ってくる女はいっぱいいるんだろ?」
「まあ、な」
「いっつも違う女連れてたし」
そこでSが、「えっ」という顔をしたので、慌ててしまいました。
入学式以来、彼のことを見ていたと白状しちゃったんですから。
でも彼は気にせず、すぐに適当な話題に切り換えました。
Sは意外と酒豪で、ビールから始まり、チューハイ、焼酎とちゃんぽんしまくり。
おかげで、飲み会が終わる頃にはフラフラに。
ちゃんと帰れるか心配だった僕は、電車で彼を家まで送っていくことにしました。
飲み会のあったのは渋谷で、彼の家は新宿。
山手線の中で吐いたりしないか心配だったけど、それほどには酔っていないようで、
しっかり足で立ちながら、「俺の家で飲みなおそうな」などと言います。
彼の部屋にあがり、缶ビールと柿の種でまたワイワイと飲んでいたのですが、
そのビールも空になる頃、Sは話題が尽きたように黙りこくりました。
酒でほんのり目もとを赤くした彼の顔はゾクッとするほど綺麗でしたが、
ガン見はまずいので、ぼーっと天井を見上げていました。
そのとき、彼がふいに、一人言のように呟いたのです。
「K(僕の苗字)ってさ、もしかして俺のこと、前から気になってた?」
Sはいたずらっぽい笑みを浮かべて僕を見ています。でも、目は妙に真剣なんです。
「なんでそう思うの?」
僕は、少しタジタジとなりながら答えました。
もう何ヶ月も友達付き合いをしているけど、
彼の綺麗な顔にまっすぐ見つめられると胸が高鳴り、
それだけで酔いが醒めてくるみたいです。
「さっきさあ、俺がいっつも違う女連れてるの見てたって言ってたじゃん。
俺、今のゼミ入ってから、女とは全然付き合ってないんだ。
おまえ、ずっと前から俺のこと見てたってこと?」
彼は覗きこむように僕の顔を見ます。
(…いや、おまえハデな見た目してるからさ、
いつも違う女連れてそうなイメージだし。冗談のつもりで言っただけ)
そんなことを言ってごまかそうかと思いましたが、なぜか口が動きません。
ホモのストーカーとでも思われたらマズイ。否定しなきゃ。
そう思うのに、ただ胸だけがドキドキしてくるんです。
「ふーん、図星だな」
ついにSはそう言いました。
キモいんだよ、おまえ。そんな言葉が来るのではと覚悟しました。
…でも。
「なんだ、やっぱりKも俺のこと見てたんだ」
彼はそう言いました。ちょっと潤んだような目で、僕に近づきます。
「…え?」
「Kさあ、○○でバイトしてただろ」
○○とは、僕が去年働いていた、大学そばの少し大きな書店です。
「俺、あそこによく立ち読みに行ってたんだ。
そしたら、かわいい顔した店員がいるなと思って。行く度に楽しみにしてたんだよ。
それがお前。あとで大学の中でもお前を見たから、ああ同じ学校なんだって。
おまけにゼミまで一緒だし、俺まっさきに声かけちゃったんだ」
僕は彼の言葉の意味がわからず、ひたすら、え?とか、は?としか言えませんでした。
Sは続けて言います。
「なんだ、これだけ一緒にいたんだし、Kならとっくに気づいてると思ったのに」
「な、何が」
「俺、ゲイなんだよ。」
そう言って、Sが僕を抱き寄せてきました。
僕を抱き寄せたSの腕は、細いのに筋肉質で、
僕にはほどくこともできないくらい力が強いのです。
「おまえ、酔ってるだろ」
Sが僕をからかっているのかと思い、そう言いました。
「うん、酔ってるよ」
「じゃあ…」
「俺、これでも小心者なんだ。酔ってなきゃ、こんなことできない」
目の前にあるSの顔は、少しの余裕もないくらい真剣でした。
「…前から、こういうことしたかったんだ。Kと」
彼の唇が、僕の口に迫りました。
あんなに憧れてたSなのに、いざ迫られると頭が混乱しました。
このまま好きにされてもいいと思ったのに、なぜか僕は彼のキスを避けてしまいました。
「あ。…ごめん」
Sが言いました。
「嫌、だった?」
Sは叱られた子供みたいな顔になっています。
「そうだよな。急にこんなことして。嫌に決まってるよな。俺、馬鹿みてえ」
Sはごまかすように笑いましたが、目はひどく悲しんでいるようです。
「違うよ。嫌じゃない」
「…え」
「少し驚いただけ。好きにしろよ。早く」
僕はSの悲しんだ顔を見られなくて、とっさにそう言いました。
彼はまた僕を抱き寄せ、こう言いました。
「俺なんかにいきなりこうされて嫌だろうけど、今晩だけ許して。
Kと、本当にこうしたかったんだ。許せないなら、俺もうKの前に現れないよ。
夏休みが終わった後期日程から、ゼミ変えることもできるだろ。
Kのいるところから完全に消える。だから今晩だけ…、お願い」
(そうじゃない。俺だって、すごい嬉しいのに)
そう言いたくて、僕のほうからSにキスしました。
Sは一瞬驚いたようでしたが、すぐに僕の唇に応じ、
やがてSのほうから舌を差し込んできました。
お互いの舌を確かめるようなキスから、唾液がびちゃびちゃと音を立てるようなキスに。
それだけでもすごく気持ちがよくて、僕は何度も、「あ…、ぁ」と声を出してしまいました。
気がつくと、Sが僕を上から見下ろしています。
ホントに気づかないうちに、僕はカーペットの上に押し倒されていたんです。
「やべえ、俺すげえ興奮してるみたい」
倒れこんだ僕を見下ろしたSが、熱に浮かされたように言います。
そして、僕のシャツを鎖骨のあたりまでたくしあげました。
「やっぱK、きれいな体してんな」
僕の腹や胸を、彼の唇が触れていきます。
その手は、壊れやすいものを扱うように、そっと僕の肌をなでました。
「あっ…」
Sの口が僕の乳首を含んだとき、思わず熱い息が漏れました。
彼の舌は気持ちいいのに、その刺激はまるで痛いように感じて、
僕は何度も体をよじります。
「感じてるんだ?」
Sの言葉に、僕はただ息を荒くするばかりで、まともに返事もできません。
「マジでかわいいんだけど、K…」
そう言って彼は、僕のシャツを全部脱がせ、下半身まですべてあらわにしました。
そして、キスをしながら、すでに勃起していた僕のペニスを握ります。
僕の目は、小麦色の肌をし、細身で筋肉質なSの体にくぎづけになりました。
ペニスをしごく動きに、なまめかしく躍動する胸板。彫刻のような二の腕。
くっきりと割れた腹筋。細くくびれた腰つき。
そして、彼の雄がある場所へと続く、下腹部の筋肉…。
Sのことを、全部見たい。
僕はSのベルトに手を伸ばし、それを緩めさせました。
僕の意図を察して、Sは自分からすべて脱ぎすてました。
現れた彼の雄に、僕は息を飲みました。
彼のもすでにはち切れそうなほどに硬くなっていましたが、
20cm近くはありそうな大きさです。
意思を持った生き物のような、それはびくびくと脈打っています。
Sの体って、本当に隅々まで綺麗だ…。僕はたまらなくなり、その雄をくわえました。
そして、口全体を使うようにしゃぶり、舐めまわしました。
「ん…、ふ…」
Sも気持ち良さそうに目を細めて、こらえきれないような吐息を漏らします。
そんなSがいとおしくて、僕はさらに舌を激しく動かしました。
「もういいよ、K」
しばらくして、Sは僕の頭を抑えて、フェラを止めさました。
「なんで」
「フェラはいいよ、それより」
彼は、股間に顔をうずめていた僕を抱き起こします。
「もう我慢できないんだ。Kに入れたくて…」
僕が黙ってうなずくと、Sはまた僕を仰向けに寝かせました。
そして指で僕のアナルを少しほぐした後、
正常位の体勢になるように覆いかぶさってきました。
「痛かったら、言えよ」
Sは静かにそう言ったけど、顔は焦ったように真剣で、
興奮を抑えているのがよくわかりました。
僕が彼の背中に手をまわすと、Sはやや荒い仕草で僕の足を広げました。
「いいいっ…」
Sの雄が僕のアナルを押し広げるように入ってきたとき、
そのあまりの感覚に、思わず悲鳴のような声をあげました。
何しろ、でかい。これまでに男としたことはあったけど、まるで感触が違います。
アナルが、めりめりと音を立てるようです。
はっきり言ってかなり痛い。
でも、これがSのだと思うと、頭は痛覚を忘れるように麻痺してきます。
「全部、入った…」
彼が言葉に、すぐには返事もできません。
「Sの、デカすぎ…」
「痛い?」
アナルが、彼のでパンパンになってるみたい。でも、痛いなんて言えません。
「デカくて、すげえいいよ…」
「ゆっくり、動くから」
そう言ってSは、僕の太ももを広げるように持って、腰を動かしはじめました。
最初は、僕をいたわるように、ほとんど動いているのがわからないような感じでした。
ですが彼も興奮を抑えられないのか、すぐに肌がぶつかり合うような動きになります。
「あっ…、あ…」
かなり前後のピストンが激しい、Sの腰使い。
彼の締まった胴が躍動し、その度に、アナルに強烈な快感が走ります。
彼のペニスがひっかくようにアナルから引いていくときは、
僕の下半身はビリビリと電気が流れるように痺れ、震えました。
最初は演技で出していた声も、本当の喘ぎに変わっていきます。
「ああっ、ああっ…」
「K、すげえ締まってるよ、きついし」
「気持ちいい…。デカイいよ、マジ最高…」
「気持ちいいの?」
「あっ…、あっ…。良すぎだって、ああ…」
「…俺も、やべえかも…」
エッチのときに乱れすぎるのは、僕は嫌いでした。
でもこのときは、快感に思考のすべてが支配される感じだったんです。
自分がどんなに恥ずかしい声を出し、恥ずかしい顔をしているか、
まったくそんなこと考える余裕がありません。
Sのペニスの感触に、僕のすべてが持っていかれているようでした。
バック、騎乗位、座位と体位を変えながら、ひたすら彼と快感に酔いました。
何度もキスを交わしながら。
そして、最後にまた正常位に移り…。
快感の絶頂のとき、恐怖に近い気分を味わう人がいると聞いたことがあります。
それが、僕に来たんです。
何度も体位を変え、最後にまた正常位に戻りました。
Sも射精が近いのか、激しく息を乱しながら、
今まで以上に一心不乱に腰を打ち付けます。
そのとき、僕の頭のなかで、何か波のようなものが迫る感覚がありました。
遠くから来たような波が、彼のピストンとともに大きくなり、
僕の意識を飲み込みように押し寄せるんです。
(恐い)
とっさにそう思いました。
(飲まれたら、どうなる)
「S、ダメっ」
そう叫びました。
「ああ?」
「気持ちよすぎっ…。おかしくなりそう…」
「ムリ。止まんねえって…」
「変になっちゃうよ…」
「俺も、イキそうだから…」
「イキそうなの?」
「もうヤバイ…」
「中に出して、俺の」
Sが僕の体を強く抱きしめました。そして。
「あっ、イクっ…。イクよ」
はあっ、と息を強く吐いて、彼の腰が止まりました。
アナルの中でペニスが脈打ち、ドロドロとしたものが放たれます。
その瞬間、僕の頭も真っ白に。
何か叫んだような気がしましたが、もうそれもわからないくらい、
頭は快感でめちゃくちゃでした。
ただ、眉を寄せ、深く目を閉じながら恍惚としていたSの顔だけははっきり覚えています。
二人とも、抱き合ったまま、ずっと動けませんでした。
言葉も交わせないような、深い余韻で。
肩で息をし、水でもかぶったように汗をかいた体。
でも、シャワーに立ち上がることもできません。そして、そのまま眠りに落ちていきました。
…朝、Sはちょっと恥ずかしそうにしていました。
「ケツ、痛くないよな?」とごまかすように聞きながら。
そんな彼がかわいくて、僕は朝から何度もキスをしました。
汗くさい体を流すために一緒にシャワーを浴びます。
部屋に戻ってからカーテンを開けると、外は雲ひとつない真夏の快晴でした。
そこから見える西新宿の高層ビル群が、朝日にきらきらと輝いています。
窓を開くと、風が濡れた髪を撫でるように吹いていきました。
「これから、どうする?」
Sが聞きました。朝飯はどうするとかいう意味でしたが、僕はわざと答えました。
「これから俺たち、つきあうんだろ?」
Sはハッとした顔になり、そしてはにかみながら言いました。
「ありがと、な」
「え?」
「実はさ、男のこと本気で好きになったの、初めてなんだ。
だから、あんな強引なことしちゃって。嫌われてないか心配だった」
「ううん、すごい嬉しい。男の初恋が俺だなんて」
「…Kと会えて良かった」
「…俺も、Sと会えて」
夏の風を感じながら、二人とも長い間、唇を重ねていました。
互いに仕事を始めた今も、Sとは順調です。
忙しいから、あんまり頻繁には会えなくなりましたが。
でも、ここに書いたセックスのことを思い出すと、今でも燃えるんですよ。