学生時代にコンビニでアルバイトをしていたときの話です。
繁華街のど真ん中のコンビニ。
当然ながら、いろんな客が来ます。
ある日の深夜、全裸の若者が来店しました。
見た感じ、10代ぐらいの大学生風です。
くすんだアッシュ系の髪。
大きな瞳が印象的な、整った顔立ちの美少年タイプでした。
両手でしっかり前を隠して強張った表情です。
僕は検品をしている手を止めて、目が釘付けになりました。
彼は一目散に生活用品コーナーへ向かうと、コンドームを手にとって、足早にレジに向かいました。
僕はレジに駆け寄って「いらっしゃいませ、こんばんは」と元気よく語りかけました。
もちろん、目線は彼の裸。
細身ですが、盛り上がった胸板と割れた腹筋。スポーツで自然についた筋肉でしょうか。
美形の顔立ちにはやや不釣合いですが、
顔と同じく透き通ったような色白の肌で、僕が好きなタイプです。
全体的な印象としては、ラルクのhydeを若くして、もう少し現実的で健康的な顔立ちにして、
体を筋肉質にしたような感じといえばわかってもらえるでしょうか。
彼は片手で前を隠したまま、もう片方の手で一万円札を差し出しました。
僕はじっくり観察しながら、ゆっくりと釣りの千円札を数えます。
片手で覆った部分からは、隠しきれない勃起が覗いていました。
相当大きいモノです。
手のひらから、しっかりと亀頭がはみ出ているのですから。
根っからのMで、どこかのSMクラブから命令されてやってきたのかもしれないと思いました。
女王様の差し向けなのでしょうか。
この歳でこれだけ可愛くて、こんなことで喜ぶ変態なのかと思うと、僕は興奮してきました。
いや、何かの罰ゲームだと考える方が自然かもしれません。
ただし、そう考えると、勃起していることが説明しづらいような気もします。
いずれにしても、露出癖のある変態君には違いありません。
釣りを渡すと、彼は恥ずかしそうに小声で呟きました。
「あの、領収書をお願いします」
「はい。宛名はどういたしましょう」
彼は、顔を真っ赤にして言いました。
「あの、ご主人様、で……」
「ご主人、様ですね」
僕は、言われたとおりに「ご主人」と書きました。
どうやら、このノンケっぽい少年は、ゲイなのだと推測できます。
女王様ではなくご主人様なのですから。
これはSM調教の一環なのでしょうか。
「但し書きはいかがいたしましょうか?」
普段はそんなに丁寧なことをしないのに、僕はわざとそう訊きました。
「あ。えっと……」
あまり領収書をもらうことに慣れていないのか、彼は慌てて口篭ってしまいました。
片手に釣り銭を持ち、もう片方の手で勃起を覆いながら、
彼の顔はますます紅潮していきます。
「あの、何でもいいです」
俯きながら、彼は早口で言いました。
僕は、「商品代として」と、ゆっくり記入しました。
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
領収書と商品を受け取ると、彼は小走りで店を出ました。
僕は目で追いかけます。
繁華街のメインストリートの方向へ、彼は消えていきました。