俺のバイトは配達。
で、しばらく受験勉強のため、休んでた。
五ヶ月もたつとさすがに新人のドライバーやらピザメイクの人が増えていたが、
店のいい雰囲気は前とかわってなかった！ふふ。
とりあえず、仕事歴は俺の方が長くても、自分は一番年下。
先輩たちはみんな俺のことを可愛がってくれる。
その中にジュークのケンジに似てる人がいるんだけどさ。
その人のことを好きになっちゃったわけさ！
で、俺はいたずらしたり、憎まれ口たたいたり、からかったりしてて、
そのたびに先輩も「おい！」と笑って絡んでくれる。
ちょい前にバイト飲み会があってそのときの出来事…。
みんなテンションがあがってきたとき、突然事件は発生した。
「おい、これ楓だろ？」俺が一番苦手な先輩が携帯の画像を見せてきた。
（はぁ！？これ俺じゃん！！なんでコイツが？？？）
「おい！みんな楓はホモだぜ！ほらみろよ！彼氏募集～★だってよ！！」最悪の展開。
俺がゲイになって最も恐れていた事態。
みんな引いたり、うわー！とか騒いでる。
どうしよう……、と思ったとき、
「それは一昨日俺が楓と一緒にゲームやっててその罰ゲームで載せたんだよ！
ギャグセンたけーだろ！？」
一同「そっか～！！」
「お前らほんとに笑いに命かけてるよな！」
「この罰ゲームはないよ～」好きな先輩の一言で救われた。
時折目で俺に合図を送ってきた。
俺も「いや～俺らの罰ゲームはマジ、ギルガメッシュですよ～！みんなでやりません！？」
と返し、その場は乗り切ったが、一時間もしないうちに心がやばくなって、
「明日朝早いんで失礼しマース！」と店を出た。
外に出た瞬間、涙が出た。
「もうゲイなんてやめよう！無理にでも女を好きになろう！」
そう思って早足で歩いていると…。
「おい！おい！！楓！！！」
先輩だ。泣き顔を見られたくなかったので振り返らずに答えた。
「なんですか？」
「…あの画像………。」
「本物です。彼氏が欲しかったんです。俺はゲイなんです……、でももうやめました！」
「お前俺のこときらいか！？」
「え？」
「俺のことどうおもってんだよ！」
「…嫌われたくないから言えません！」
「絶対嫌いにならないから！」
「……好きです。初めて見たときからずっと好きでした。」
抱きしめられた。
「俺も好きだよ。」
「先輩…」
黙って俺の前で組まれた手を握った。
先輩の手がよりきつく閉められた気がした。
「うち来ないか？いろいろ話聞くぜ？」
「遠慮しときます（ここで流されてHしたらこのあと絶対気まずくなる！我慢しなきゃ）」
「俺もっとお前のこと知りたいんだよ……。」
「いや…（ほーら来た！チンコの大きさとかケツの締まり具合のことだろどうせ！）」
「俺はお前がどんな過去もってても愛せる！だから俺には何でも言え！俺も言うから！」
心がすーっと軽くなっていった。
ゲイの世界に入っていることはまだ誰にも言ってない。
だから失恋したことも、ヤリ逃げされたことも、体売ってたことも、
全て溜まりにたまっている状態ではち切れそうだった。
けど先輩の一言で報われた気がした。
先輩宅。
「意外にきれい～！」
「おい！」
「ビールありません？」
「おう、ある。ラムとコーラもあるからラムコークも出せるぜ。」
「俺大好きなんです！…ちょっとシャワー浴びて良いですか？昨日はいってないんです。」
「不潔少年だなぁ。いいよ。ユニットだから入りづらいかもしれないけど。」
「乾杯！」
酒のペースで話は進む。
体を売ったこと、ヤリ捨てされたことは俺の中でたいしたことじゃない。
ただ始めての彼氏で大失恋の痛手話は、いまだに涙がこぼれる。
泣くと肩を抱いて…「俺は絶対お前を嫌いにならない！」と言ってくれた。
てかこの話詰まんないよね！
それから数日後エッチしたんだけど、すごい体の相性がよくて。
やっぱ愛があったのかなぁ？今では毎日
「結婚しよう！あ、日本じゃ無理か！…じゃ俺らの中で結婚ってことにしよう！
お前うちに住め！！」
とか言ってきます。
この前、彼に「なんで俺のことすきなの？」と聞くと、
「いつもいつも俺の想像をことごとく超えているところ！」と言われました。
どこ見てんの！！！言いたくなる会話が頻繁です。
